広報担当の山崎です。今回は2020年東京五輪招致活動についての研究レポートを掲載させて頂きます。


2020年東京オリンピック招致活動についての研究

東京五輪招致活動とスポンサー 



はじめに
 

過去最多のメダルを獲得し、開会式や閉会式など競技以外のところでも日本を熱く、非常に盛り上げてくれたリオオリンピックも遂に終わってしまいました。

しかし、その4年後は東京での開催となっており、日本人の私からすると非常に楽しみです。

しかし、その2020年に開催される東京オリンピックが開催される前に、五輪エンブレムの問題や新国立競技場、そして招致活動の際の裏金など、様々な問題が起こってしまいました。 

招致活動での問題
 

世間を大きく騒がせたのが裏金問題です。

裏金問題とは、日本の銀行口座から、国際陸上競技連盟のラミン・ディアク前会長の息子が関連するシンガポールの会社の口座に、約22300万円の送金があったことにより東京五輪招致を巡る不正が行われた可能性があるとされています。(1)

ディアク前国際陸上競技連盟会長は、この時期、古参の国際オリンピック委員会理事で、総会で五輪開催都市を決める投票権を持つと共に、他の委員の票を取りまとめる強い影響力を持った人であることから、可能性は非常に高いと考えられます。

本来、選手がメインであるべきオリンピックが開催される前に、こういったことが発覚されてしまうのはとても悲しいことだと感じます。

オリンピックを開催するにふさわしくないような行動が目立ち、開催しないほうが良いのではないかと少し思ってしまうのですが、日本で、そして東京で開催されるとなると、どうしても期待してしまうのが正直なところです。

個人的には野球などが競技として復活したので、楽しみが非常に増えたと感じています。開催されるからにはリオオリンピックを超えるメダル数、そして素晴らしいサポートをし、選手達が活躍できる場を整えてほしいと思います。 

東京オリンピックスポンサー
 

そして、サポートとして欠かせないものがスポンサーです。リオオリンピックの際のスポンサーとしては、コカ・コーラ、ブリヂストン、マクドナルドなどの一流企業が名を連ね、リオオリンピックを盛り上げる大きな役割を担っていました。

東京オリンピック開催に向け、国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ氏が来日し、日本の経済界に支援を呼びかけました。これは、東京五輪に向け、スポンサーになってくれる日本企業を募ることが目的です。五輪マークと関係を持つことで、何億、何十億の人に認知される。2020年の東京五輪は非常に良い機会だとバッハ氏は言っています。

私は、東京五輪のスポンサーに、今まで日本ではあまり馴染みのなかったというような企業もあれば良いなと思いました。そのような企業がスポンサーとなり、日本に新たな文化・流行などを生み出し、それが活性化などに繋がっていくことがあれば非常に良いことだと考えました。

しかし、日本企業の多くは自社の業績をにらみながら迷っている現状にあります。

実際、五輪は消費者の好感度が高く、企業にとってはスポンサーになることでイメージアップにつなげたり、商品を売り込んだりする絶好の好機となります。

しかし、東京五輪に向け1社あたり4年間で最大100億円ともいわれる巨額のスポンサー費用が悩みの種となってしまっています。

東京五輪のスポンサーは、

1.大会運営費の調達

2.オリンピックブランド・パラリンピックブランドの向上

3.オリンピックムーブメント、パラリンピックムーブメントの推進

4.日本代表選手団の国際競技力の向上

以上4つの目的に向けて募集されました。(2)


現在の五輪スポンサーにはまず、全世界で五輪マークを使え、IOCと契約する「最上位スポンサー」
TOPスポンサー)(The Olympic Partner)と呼ばれるものがあります。国内だけでなく、世界規模でオリンピックのパートナーを務めているということになりますこのほか日本では、日本オリンピック委員会と契約し、国内だけでJOCマークを使用することのできる、「ゴールドパートナー」と「オフィシャルパートナー」の2種類があります。権利が世界規模ではなく、国内のみとなり、国内のみでの呼称・マーク類・関連素材使用権などが与えられます。ゴールドパートナーが国内で最高位のスポンサーとなります。


今回紹介する一部の企業の位置付けは以下の通りです。 

TOPスポンサー      トヨタ パナソニック

ゴールドパートナー   アサヒビール、アシックス、キャノン

オフィシャルパートナー 味の素、三菱電機、ヤマトホールディングス
 

東京五輪のゴールドパートナーには、アサヒビール、アシックス、キャノン等一流の企業が名を連ねています。アサヒビールは、ロンドン五輪の際、選手らの姿をあしらった缶ビールを販売したところ、大変よく売れ、ビール消費量も増えたという実績があります。

東京五輪の際は、どのような作戦で売り出していくのかというのに注目していきたいと思います。

そして、オフィシャルパートナーには、味の素、三菱電機、ヤマトホールディングスなどが名を連ねています。(3)こうしてスポンサーとなっていく企業も多くありますが、慎重な姿勢の企業も多くあります。その企業の一つがパナソニックです。(4)

4年間で100億円前後とされるスポンサー料は、2年連続の巨額赤字に陥ったパナソニックの身に重くのしかかっており、迷っていましたが、東京五輪のワールドワイドオリンピックパートナーTOPスポンサー)に名を連ねました。

しかし、こうした慎重になっていく企業がある一方で、積極的な企業もあります。

そういった企業の代表格がトヨタ自動車です。(5)

ワールドワイドスポンサーと呼ばれるTOPスポンサーにトヨタ自動車がなりました。TOPスポンサーには、五輪マークを世界中で自社製品の宣伝広告に使用できるという利点があります。TOPスポンサーとは、国際オリンピック委員会と契約をしているパートナーです。

このTOPスポンサーには1業者1社までという規定があります。

これまで、オリンピックマーケティングのスポンサーシップの中のTOPスポンサーに自動車企業が入ったことはありませんでした。

その契約金は1000億円を超え、最高で2000億円ともいわれています。国際オリンピック委員会によると、2012年のロンドン五輪までの4年間のTOPスポンサー1社あたりの年間契約額は、平均約26億円です。

こうした高額な契約金の背景には、アベノミクスによる円安を追い風に、20153月期に過去最高の27000億円に膨らむ見通しとなっていた営業利益があります。業績が順調な企業の余裕がこのような高額な契約金へと繋がっているのではないかと思います。

トヨタ自動車は東京五輪にて、昨年末に世界に先駆けて市販した燃料電池車や安全運転技術などを、大会の運営車両に提供する見通しです。最新技術を消費者に独占的にアピールすることのできる格好の場となり、未来の乗り物はこういうことができると世界に認めてもらうことが狙いの一つです。

国際オリンピック委員会としては、人気の再構築に向け、世界中のケーブルテレビで一年を通じて五輪の名場面や話題を提供する五輪チャンネル構想を進める会長にとって、トヨタからの破格のオファーは、新たな原資として非常に魅力的であったのです。

スポンサーの経済効果への疑問
 

しかし、東京五輪のスポンサーになることで、この破格の数字に見合った経済効果が本当にあるのかと疑問に思いました。

オリンピックを見てプレーをしている選手のようになりたいとスポーツをはじめ、その選手・アスリートが使用していたメーカーの道具を使用するなどの効果はあると考えられます。

そして、大きな国際大会などの際に流れる企業のコマーシャルをよく目にすることがあります。特にアディダス、ナイキなどのスポーツメーカーやマクドナルドなどがワールドカップなどの際に放送しているコマーシャルには印象に残るものが多くあると感じます。その他の企業、大会などでも記憶にのこるコマーシャルがあることはすごく感じ、広告の効果はあるのだと思います。しかし、2020年に控えた東京五輪には、今まで行われていた

オリンピックよりも価値があるのか、魅力があるのかと疑問に思いました。

特に今回の場合、裏金問題という全世界で報道されていると考えられる問題があります。

日本国内では、メディアがあまり報じていなかったと感じていますが、海外ではどのように報道され、東京五輪には今現在どのようなイメージを持っているのだろうと考えました。日本国内であまり報じられていないと感じた理由には、メディアの世界にもスポンサーとの関係があり、報じたいことを全て報じることができない状況にあるのだと考えます。

マスメディアの方々など、それぞれの立場があり非常に難しい問題ではあると思いますが、スポーツの世界で利権などの問題が垣間見えるのはスポーツが好きな人や五輪を楽しみにしている人にとっては、非常に好ましくないことであると思います。そして、東京五輪を楽しみにしていた方々などは、裏金を使っての招致などまったく望んでいなかったと思います。

そして、現在のように真相が曖昧な状態で本番を迎えてしまうのはどうなのかなと疑問を抱いてしまいます。なので、日本国内でもしっかりと調査し、真相をはっきりさせることが非常に重要なことだと思います。そうすることで、TOPスポンサーへとなったTOYOTAなど、たくさんの企業などのこうした活動も今以上に効果を望むことができ、契約金に見合った経済効果が約束されてくるのではないかと思いました。

五輪というのは非常にお金のかかる、莫大な資金が必要となるイベントです。

2008年の北京五輪では約51170億円、2012年のロンドン五輪では約47600億円と

全く想像もつかない金額が必要となっているのです。2020年の東京五輪では、これまでに行われ来ていた五輪よりも金がかからないと言われてきました。

なるべく既存の施設を利用し、選手村から8キロ圏内に大半の競技場があり、「コンパクトな大会」という触れ込みで、約7345億円の予算で済むのではないかという計画でした。

しかし、その計画通りにはいかないような状況に陥ってしまっています。

競技会場や選手村の運営、人件費などに使われる組織委員会の予算は、招致段階予測の約3000億円よりも大幅に増える見込みとなっています。

会場も、選手村から近いことを売りにしていましたが、野球を福島で開催するのか横浜で開催するのかなど、まだまだ未定なことも多いというのが現状です。

新国立競技場の維持費も46億円かかると試算されています。これら大金を賄うためにもスポンサーなどが非常に重要な役割を担ってくるのだと思います。

こうして増えていく様々な問題を早急に解決し、クリアにしていくことが東京五輪成功に不可欠であると思いました。 

まとめ
 

問題が発覚し、そうしたことが事実であったとしても、スポーツが好きで、人生の中で自分の住んでいる国でオリンピックが開催され、生で選手達の活躍を見ることができるというチャンスがあるのなら見てみたいという国民も少なくはないと思います。

東京で五輪が開催されると発表されたときの選手たちの喜び、テレビなどメディアの盛り上がり、それを見た日本中のそういった思いを持った方々の期待を決して裏切らないものにするためにも、日本オリンピック委員会の今後の努力が大事なのではないでしょうか。開催すると決まったならば、こうした問題を帳消しにすることはできなくとも、日本で開催されて良かったのではないかと世界中の多くの方々に言ってもらえるような五輪にしてほしいと私は思います。

そして、東京五輪がきっかけで経済などの発展やスポーツのレベル向上などに繋がっていくことにより、再び日本で五輪が開催される日も近づいてくるのではないかと考えました。日本の正反対のリオで開催されたのにも関わらず、日本国内であれだけの盛り上がりを見せたのならば、日本で開催された際にはそれを更に上回る、想像できないような盛り上がりを見せてくれるのではないかと期待します。

そうしたものを期待し、多くの企業がスポンサーとしてオリンピックを盛り上げるサポートを買って出たのだと思います。

私たちのようにスポーツをしている選手・アスリートの方々を純粋に応援したいと願う人が多くいる中で、一部の招致にかかわる人間の軽率な行動によってその気持ちを踏みにじる行為は決して許すことはできません。今回報じられた件に関しては、白黒はっきりさせてほしいと私は非常に強く願っています。現在のままだと、日本のおもてなしはお金だったのか、それもとても汚いお金であると思われてしまっても仕方がないという状態です。

私は選手に、今までの集大成を五輪という大舞台で堂々と見せてほしいと思います。そうしたことを国民の多くが望んでいるのだと思っています。五輪を目標に、幼いころからスポーツを頑張ってきていた選手達が肩身の狭い思いをしながらプレーをするということがないようにするためにも、こうした問題から目をそらすことは、そういった選手達のためにもあってはならないことだと思います。選手達は間違いなく日本に勇気や感動を届けてくれると思います。私たちは、そうした選手たちのために、資金や使用する道具を提供することはできませんが、選手達の頑張りを応援することなどによって、少しでも選手を支えることができればと思います。

ある意味スポンサーのような関係を国民と選手との間で築いていくことも重要なことであるのではと考えました。

開催されるのであれば世界一、もう二度と2020年の東京五輪は超えられないというような素晴らしい大会になることを望み、開催を待ちたいと思います。 

 
文責者 山崎秀明 

如何でしたでしょうか。今回の更新は以上です。
次回の更新は 3月3日を予定しております。次回の更新をお待ちください。

脚注
(1)http://www.nikkansports.com/sports/news/1658978.html
(2) https://tokyo2020.jp/jp/organising-committee/marketing/sponsorship/
(3)https://tokyo2020.jp/jp/organising-committee/marketing/sponsors/

(4) 教材資料:五輪スポンサー 損得勘定
(5)教材資料:五輪スポンサー 損得勘定